源氏への愛憎に苦しむ御息所【源氏物語147 第九帖 葵20】斎宮はこの秋潔斎生活の第一歩をお踏み出しになることになった。

ないことも悪くいうのが世間である、 ましてこの際の自分は 彼らの慢罵欲《まんばよく》を 満足させるのによい人物であろうと思うと、 御息所は名誉の傷つけられることが苦しくてならないのである。 死んだあとにこの世の人へ恨みの残った霊魂が 現われるのは ありふれた事実であるが、 それさえも罪の深さの思われる悲し…