源氏は 葵上の産んだ若君を慈しむ【源氏物語154 第九帖 葵27】御息所の生き霊を見た源氏は苦悶する。御息所を気遣い手紙だけは送る

少し安心を得た源氏は、生霊をまざまざと目で見、 御息所の言葉を聞いた時のことを思い出しながらも、 長く訪ねて行かない心苦しさを感じたり、 また今後御息所に接近してもあの醜い記憶が心にある間は、 以前の感情でその人が見られるかということは 自身の心ながらも疑わしくて、 苦悶《くもん》をしたりしながら、 御息…