葵上の急死【源氏物語157 第九帖 葵30】葵上の死に 左大臣家は悲しみに沈む

秋の官吏の昇任の決まる日であったから、 大臣も参内したので、 子息たちもそれぞれの希望があって このごろは大臣のそばを離れまいとしているのであるから 皆続いてそのあとから出て行った。 いる人数が少なくなって、 邸内が静かになったころに、 葵の君はにわかに胸がせきあげるようにして苦しみ出したのである。 御所…