【源氏物語161 第九帖 葵34】源氏は悲嘆に暮れる。母の宮様は悲しみのために寝付いてしまう。

欠点の多い娘でも死んだあとでの親の悲しみは どれほど深いものかしれない、 まして母君のお失いになったのは、 貴女《きじょ》として 完全に近いほどの姫君なのであるから、 このお歎きは至極道理なことと申さねばならない。 ただ姫君が一人であるということも 寂しくお思いになった宮であったから、 その唯一の姫君をお…