六条御息所からの手紙に返事を書く【源氏物語163 第九帖 葵36】なぜ御息所の生霊を見てしまったのだろうと思う源氏

平生よりもいっそうみごとに書かれた字であると 源氏はさすがにすぐに下へも置かれずにながめながらも、 素知らぬふりの慰問状であると思うと恨めしかった。 たとえあのことがあったとしても絶交するのは残酷である、 そしてまた名誉を傷つけることになってはならないと思って 源氏は煩悶《はんもん》した。 死んだ人はと…