【源氏物語175 第九帖 葵48】左大臣は、漢詩(長恨歌)鴛鴦瓦冷霜花重と書いたところの歌をみる。左大臣は声を惜しまず泣く。

亡き魂《たま》ぞ いとど悲しき 寝し床《とこ》の あくがれがたき 心ならひに と書いてある。 「鴛鴦瓦冷霜花重《ゑんあうかはらにひえてさうくわおもし》」 白居易 長恨歌より と書いた所にはこう書かれてある。 君なくて 塵《ちり》積もりぬる 床なつの 露うち払ひ いく夜 寝《い》ぬらん ここには いつか庭から折らせて…