【源氏物語185 第九帖 葵58】右大臣の六の君や 六条御息所に心は残しつつも、紫の君の他にほかに分ける心が見出せない源氏。

「宮仕えだって、だんだん地位が上がっていけば 悪いことは少しもないのです」 こう言って宮廷入りをしきりに促しておいでになった。 その噂の耳にはいる源氏は、 並み並みの恋愛以上のものをその人に持っていたのであるから、 残念な気もしたが、現在では紫の女王のほかに分ける心が 見いだせない源氏であって、 六の君が…