【源氏物語186 第九帖 葵59】源氏は紫の君の裳着の準備をする。しかし姫君はつれない。源氏は姫君に恨み言を言う。

二条の院の姫君が何人《なにびと》であるかを 世間がまだ知らないことは、 実質を疑わせることであるから、 父宮への発表を急がなければならないと源氏は思って、 裳着《もぎ》の式の用意を 自身の従属関係になっている役人たちにも命じてさせていた。 こうした好意も紫の君はうれしくなかった。 純粋な信頼を裏切られたの…