【源氏物語187 第九帖 葵60】源氏は御所に参賀に周り、左大臣家にも行った。若君は、目付き口元が東宮にそっくりである。よく笑うのも哀れである。

こうして今年が暮れ、新しい春になった。 元日には院の御所へ先に伺候してから参内をして、 東宮の御殿へも参賀にまわった。 そして御所からすぐに左大臣家へ源氏は行った。 大臣は元日も家にこもっていて、 家族と故人の話をし出しては寂しがるばかりであったが、 源氏の訪問にあって、 しいて、悲しみをおさえようとする…