想いが溢れ源氏は泣き出してしまった【源氏物語194 第十帖 賢木 6】二人の昔も別れの辛さも痛切に感じぜずにいられない。

潔斎所の空気に威圧されながらも御簾の中へ上半身だけは入れて 長押《なげし》に源氏はよりかかっているのである。 御息所が完全に源氏のものであって、 しかも情熱の度は源氏よりも高かった時代に、 源氏は慢心していた形でこの人の真価を認めようとはしなかった。 またいやな事件も起こって来た時からは、 自身の心なが…