野の宮 御息所との別れ【源氏物語195 第十帖 賢木7】去り難い源氏。松虫の声が聞こえるも別れの伴奏のようである。

若い殿上役人が始終二、三人連れで来ては ここの文学的な空気に浸っていくのを喜びにしているという、 この構えの中のながめは源氏の目にも確かに艶なものに見えた。 あるだけの恋の物思いを 双方で味わったこの二人のかわした会話は写しにくい。 ようやく白んできた空がそこにあるということも わざとこしらえた背景のよ…