【源氏物語197 第十帖 賢木9】源氏は御息所に 心を込め手紙を書いた。斎宮は出発の日が決まったことを喜んでおいでになった。

男はそれほど思っていないことでも 恋の手紙には感情を誇張して書くものであるが、 今の源氏の場合は、 ただの恋人とは決して思っていなかった御息所が、 愛の清算をしてしまったふうに 遠国へ行こうとするのであるから、 残念にも思われ、 気の毒であるとも反省しての煩悶《はんもん》の かなりひどい実感で書いた手紙で…