【源氏物語209 第十帖 賢木21】源氏は紫の上と穏やかに暮らしている。父の兵部卿の宮も二条の院に出入りしておいでになる。

このごろは通っていた恋人たちとも双方の事情から 関係が絶えてしまったのも多かったし、 それ以下の軽い関係の恋人たちの家を訪ねて行くようなことにも、 もうきまりの悪さを感じる源氏であったから、 余裕ができてはじめてのどかな家庭の主人《あるじ》になっていた。 兵部卿《ひょうぶきょう》の宮の王女の 幸福である…