【源氏物語223 第十帖 賢木35】恋に苦しむ源氏は、母君の桐壺の御息所の兄君の律師のいる雲林院で経を読んだり仏勤めをして過ごす。

お肩にゆらゆらとするお髪《ぐし》がきれいで、 お目つきの美しいことなど、 御成長あそばすにしたがって ただただ源氏の顔が一つまたここにできたとより思われないのである。 お歯が少し朽ちて黒ばんで見えるお口に笑みをお見せになる美しさは、 女の顔にしてみたいほどである。 こうまで源氏に似ておいでになることだけ…