【源氏物語224 第十帖 賢木36】場所が場所であるだけ人生の無常さばかりが思われる源氏。とはいえ紫の上が気になるのは、大した道心でもないわけである。

木立ちは紅葉をし始めて、 そして移ろうていく秋草の花の哀れな野をながめていては 家も忘れるばかりであった。 学僧だけを選んで討論をさせて聞いたりした。 場所が場所であるだけ人生の無常さばかりが思われたが、 その中でなお源氏は恨めしい人に 最も心を惹かれている自分を発見した。 朝に近い月光のもとで、 僧たち…