【源氏物語227 第十帖 賢木39】源氏は昨年の野の宮の別れがこの頃であったと思い出し、自分の恋を妨げるものは神たちであるとも思った。

源氏はまた去年の野の宮の別れが このころであったと思い出して、 自分の恋を妨げるものは、 神たちであるとも思った。 むずかしい事情が間にあればあるほど情熱のたかまる癖を みずから知らないのである。 それを望んだのであったら加茂の女王との結婚は 困難なことでもなかったのであるが、 当時は暢気《のんき》にして…