【源氏物語231 第十帖 賢木43】帝は、尚侍と源氏との仲をご存じであったが、恋愛するのに最も相応しい二人であるから と咎めようとは思し召さない。

巡る思い出 written by 蒲鉾さちこ 帝はちょうどお閑暇《ひま》で、 源氏を相手に昔の話、 今の話をいろいろとあそばされた。 帝の御容貌は院によく似ておいでになって、 それへ艶《えん》な分子がいくぶん加わった、 なつかしみと柔らかさに満ちた方でましますのである。 帝も源氏と同じように、 源氏によって院のことを…