【源氏物語262 第11帖 花散里2】中川辺を通っていく和琴を弾く音がした。そこは源氏がただ一度きたことがある女の家だった。

徒桜 written by のる 中川辺を通って行くと、 小さいながら庭木の繁りようなどのおもしろく見える家で、 よい音のする琴を和琴《わごん》に合わせて派手に弾く音がした。 源氏はちょっと心が惹かれて、 往来にも近い建物のことであるから、 なおよく聞こうと、 少しからだを車から出してながめて見ると、 その家の大木の…