【源氏物語263 第11帖 花散里3】歌を読みかけるも、女はわざと知らない風である。源氏はもっともであると思いつつも もの足らぬ気がした。

あの日の僕たちへ(Dear Our Past Days) written by 蒲鉾さちこ ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 こんな返歌をするのは、 わからないふうをわざと作っているらしいので、 「では門違いなのでしょうよ」 と惟光が言って、出て行くのを、 主人《あるじ》の女だけは心の中でくやし…