【源氏物語270 第12帖 須磨4】源氏は極めて親密な家司七、八人だけをともにして、ひっそりと出かけることにしていた。心を込めて恋人達にも手紙を書いた。

さようなら written by ハシマミ 三月の二十幾日に京を立つことにしたのである。 世間へは何とも発表せずに、 きわめて親密に思っている家司《けいし》七、八人だけを供にして、 簡単な人数で出かけることにしていた。 恋人たちの所へは手紙だけを送って、 ひそかに別れを告げた。 形式的なものでなくて、真情のこもったも…