【源氏物語271 第12帖 須磨5】源氏は左大臣家に行く。夕霧の若君は無邪気に源氏の膝の上に座っている。左大臣はすっかり悲しみ しおれていた。

追憶と哀しみ written by G-MIYA 出発前二、三日のことである、 源氏はそっと左大臣家へ行った。 簡単な網代車《あじろぐるま》で、 女の乗っているようにして奥のほうへ寄っていることなども、 近侍者には悲しい夢のようにばかり思われた。 昔使っていた住居《すまい》のほうは 源氏の目に寂しく荒れているような気がした…