【源氏物語276 第12帖 須磨10】物思いをしながら出ていく源氏を見ては虎も狼も泣かずにいられないであろう。左大臣家の人々は咽び泣きの声で満たされた。

冥の庭園 written by ハシマミ 「ぜひお話ししたく存じますこともあるのでございますが、 さてそれも申し上げられませんで 煩悶《はんもん》をしております心をお察しください。 ただ今よく眠っております人に今朝また逢ってまいることは、 私の旅の思い立ちを躊躇させることになるでございましょうから、 冷酷であるでし…