【源氏物語278 第12帖 須磨12】「貴方のことがこうなった以外のくやしいことなどは私にない」とだけ言っている夫人の様子に深い悲しみが見える。

届かない声 written by K’z Art Storage 西の対《たい》へ行くと、 格子《こうし》を宵のままおろさせないで、 物思いをする夫人が夜通し起きていたあとであったから、 縁側の所々に寝ていた童女などが、 この時刻にやっと皆起き出して、 夜の姿のままで往来するのも趣のあることであったが、 気の弱くなっている源氏はこ…