【源氏物語297 第12帖 須磨31】夜が明けてから家を出るのは見苦しいと思って別れて行った。 道すがらも夫人の面影が目に見えて、源氏は胸を悲しみにふさがらせたまま船に乗った。

惜しからぬ 命に代へて 目の前の 別れをしばし とどめてしがな と夫人は言う。 それが真実の心の叫びであろうと思うと、 立って行けない源氏であったが、 夜が明けてから家を出るのは見苦しいと思って 別れて行った。 道すがらも夫人の面影が目に見えて、 源氏は胸を悲しみにふさがらせたまま船に乗った。 日の長いころで…