【源氏物語302 第12帖 須磨36】源氏がそこから出入りした戸口、よりかかっていることの多かった柱も見ては胸が悲しみでふさがる紫の上。

鏡の影ほどの確かさで 心は常にあなたから離れないだろうと言った、 恋しい人の面影はその言葉のとおりに目から離れなくても、 現実のことでないことは何にもならなかった。 源氏がそこから出入りした戸口、 よりかかっていることの多かった柱も見ては 胸が悲しみでふさがる夫人であった。 今の悲しみの量を過去の幾つの事…