【源氏物語303 第12帖 須磨37】入道の宮も東宮のために源氏が 逆境に沈んでいることを悲しんでおいでになった。尼になられた宮のお返事は以前に比べて情味があった。

入道の宮も東宮のために源氏が逆境に沈んでいることを 悲しんでおいでになった。 そのほか源氏との宿命の深さから思っても 宮のお歎《なげ》きは、複雑なものであるに違いない。 これまではただ世間が恐ろしくて、 少しの憐《あわれ》みを見せれば、 源氏はそれによって身も世も忘れた行為に出ることが想像されて、 動く心…