【源氏物語305 第12帖 須磨39】六条御息所の方に便りを出しだ源氏。典雅な筆つきの思いやりのある返事を寄越された。

源氏が須磨へ移った初めの記事の中に 筆者は書き洩《も》らしてしまったが 伊勢の御息所のほうへも源氏は使いを出したのであった。 あちらからもまたはるばると 文《ふみ》を持って使いがよこされた。 熱情的に書かれた手紙で、典雅な筆つきと見えた。 どうしましても現実のことと思われませんような 御隠栖《いんせい》の…