源氏物語308 第12帖 須磨42】花散里も悲しい心を書き送ってきた。源氏は、後見のいない花散里のために 長雨で傷んだ屋敷を修理させた。

花散里《はなちるさと》も悲しい心を書き送って来た。 どれにも個性が見えて、 恋人の手紙は源氏を慰めぬものもないが、 また物思いの催される種《たね》ともなるのである。 荒れまさる 軒のしのぶを眺めつつ 繁《しげ》くも露のかかる袖かな と歌っている花散里は、 高くなったという雑草のほかに 後見《うしろみ》をする…