【源氏物語310 第12帖 須磨44】朱雀帝の深い愛に朧月夜の君は涙を流す。「そら、涙が落ちる、どちらのために」と帝はお言いになった。

音楽の合奏を侍臣たちにさせておいでになる時に、 帝は尚侍へ、 「あの人がいないことは寂しいことだ。 私でもそう思うのだから、 ほかにはもっと痛切にそう思われる人があるだろう。 何の上にも光というものがなくなった気がする」 と仰せられるのであった。 それからまた、 「院の御遺言にそむいてしまった。 私は死んだ…