【源氏物語313 第12帖 須磨47】源氏は、昼間は、皆と一緒に冗談を言ったり、いろいろの紙を継がせて手習いをしたり、珍しい支那の綾などに絵を描いたりした。

自分一人のために、 親兄弟も愛人もあって離れがたい故郷に別れて漂泊の人に 彼らはなっているのであると思うと、 自分の深い物思いに落ちたりしていることは、 その上彼らを心細がらせることであろうと源氏は思って、 昼間は皆といっしょに戯談《じょうだん》を言って 旅愁を紛らそうとしたり、 いろいろの紙を継がせて手…