【源氏物語315 第12帖 須磨49🌕】中秋の十五夜‥源氏は 宮廷の音楽が思いやられた。「二千里外故人心」と源氏は吟じた。青年たちは涙を流して聞いている。

初雁《はつかり》は 恋しき人の つらなれや 旅の空飛ぶ声の悲しき と源氏が言う。 良清《よしきよ》、 かきつらね 昔のことぞ 思ほゆる 雁はそのよの友ならねども 民部大輔《みんぶたゆう》惟光《これみつ》、 心から 常世《とこよ》を捨てて 鳴く雁を 雲のよそにも 思ひけるかな 前右近丞《ぜんうこんのじょう》が、 「常…