【源氏物語321 第12帖 須磨55】弟宮達や高官との手紙のやり取りも、大后の怒りを恐れて消息を近頃しなくなった。

源氏の御弟の宮たちそのほか親しかった高官たちは 初めのころしきりに源氏と文通をしたものである。 人の身にしむ詩歌が取りかわされて、 それらの源氏の作が世上にほめられることは 非常に太后のお気に召さないことであった。 「勅勘を受けた人というものは、 自由に普通の人らしく生活することができないものなのだ。 風…