【源氏物語333 第12帖 須磨67】二人は眠らずに語り、詩を作った。杯を手にしながら「酔悲泪灑春杯裏」と一緒に歌った。供をしている者たちも皆 涙を流していた。

終夜眠らずに語って、そして二人で詩も作った。 政府の威厳を無視したとはいうものの、 宰相も事は好まないふうで、 翌朝はもう別れて行く人になった。 好意がかえってあとの物思いを作らせると言ってもよい。 杯を手にしながら 「酔悲泪灑春杯裏 《ゑひのかなしみのなみだをそそぐはるのさかづきのうち》」 と二人がいっ…