【源氏物語334 第12帖 須磨68】宰相は心を込めた土産を源氏に贈った。源氏は 貴方のそばでいななくようにと黒馬を贈った。

朝ぼらけの空を行く雁《かり》の列があった。 源氏は、 故郷《ふるさと》を 何《いづ》れの春か 行きて見ん 羨《うらや》ましきは 帰るかりがね と言った。 宰相は出て行く気がしないで、 飽かなくに 雁の常世《とこよ》を 立ち別れ 花の都に 道やまどはん と言って悲しんでいた。 宰相は京から携えて来た心をこめた土産《…