【源氏物語337 第12帖 須磨71】海のほうは蒲団を拡げたように ふくれながら光っていて、雷鳴と電光が襲うてきた。

八百《やほ》よろづ 神も憐《あは》れと 思ふらん 犯せる罪の それとなければ と源氏が歌い終わった時に、 風が吹き出して空が暗くなってきた。 御禊《みそぎ》の式もまだまったく終わっていなかったが 人々は立ち騒いだ。 肱笠雨《ひじがさあめ》というものらしく にわか雨が降ってきてこの上もなくあわただしい。 一行は…