【源氏物語340 第13帖 明石2】紫の上から手紙がくる。風雨は何かの暗示ではないかと宮中では仁王会をあそばすとのこと。参内もできないので政治も止まっている。

二条の院のほうからその中を人が来た。 濡《ぬ》れ鼠《ねずみ》になった使いである。 雨具で何重にも身を固めているから、 途中で行き逢っても人間か何かわからぬ形をした、 まず奇怪な者として追い払わなければならない 下侍に親しみを感じる点だけでも、 自分はみじめな者になったと源氏はみずから思われた。 夫人の手紙…