【源氏物語346 第13帖 明石8】お亡くなりになった院が「住吉の神が導いてくださるのについて、早くこの浦を去ってしまうがよい」と仰せられた。

終日風の揉《も》み抜いた家にいたのであるから、 源氏も疲労して思わず眠った。 ひどい場所であったから、横になったのではなく、 ただ物によりかかって見る夢に、 お亡くなりになった院がはいっておいでになったかと思うと、 すぐそこへお立ちになって、 「どうしてこんなひどい所にいるか」 こうお言いになりながら、 …