【源氏物語352 第13帖 明石14】明石入道は海辺にも山手にも大きな邸宅があり、財物のための倉庫町もある。入道は源氏の美しい顔を見て老いを忘れる気がした。

明石の浦の風光は、 源氏がかねて聞いていたように美しかった。 ただ須磨に比べて住む人間の多いことだけが 源氏の本意に反したことのようである。 入道の持っている土地は広くて、 海岸のほうにも、山手のほうにも大きな邸宅があった。 渚《なぎさ》には風流な小亭《しょうてい》が作ってあり、 山手のほうには、 渓流《…