【源氏物語353 第13帖 明石15】明石入道の屋敷は、須磨の家に比べると明るくて朗らか。座敷の中の設備にも華奢が尽くされ 生活ぶりは都の大貴族と変わりない。

月と日を掌《てのひら》の中に得たような喜びをして、 入道が源氏を大事がるのはもっともなことである。 おのずから風景の明媚《めいび》な土地に、 林泉の美が巧みに加えられた庭が座敷の周囲にあった。 入り江の水の姿の趣などは 想像力の乏しい画家には描けないであろうと思われた。 須磨の家に比べるとここは非常に明…