【源氏物語354 第13帖 明石16】明石に移って 源氏は藤壺の宮、紫の上に使いを送った。源氏は手紙を書いては涙を拭きしている様子にも 思いの深さが見られるのであった。

明石へ移って来た初めの落ち着かぬ心が少しなおってから、 源氏は京へ手紙を書いた。 「こんなことになろうとは知らずに来て、ここで死ぬ運命だった」 などと言って、 悲しんでいた京の使いが須磨にまだいたのを呼んで、 過分な物を報酬に与えた上で、 京でするいろいろの用が命ぜられた。 頼みつけの祈りの僧たちや寺々へ…