【源氏物語355 第13帖 明石17】鏡を見ても とお言いになったあなたの面影が目を離れない。離れていることが最も辛いと 源氏は 紫の上に手紙を書く。

あとへあとへと悲しいことが起こってきて、 もう苦しい経験はし尽くしたような私ですから しきりに出家したい心も湧《わ》きますが、 鏡を見てもとお言いになったあなたの面影が目を離れないのですから、 あなたに再会をしないでは、それを実行することもできません。 何の苦しみよりも 私にはあなたと離れている苦痛が最…