【源氏物語357 第13帖 明石19】明石の入道は溺愛する一人娘のことでは源氏の注意をひこうとする。しかし心の動いていくことはないのではなかった。

主人《あるじ》の入道は信仰生活をする精神的な人物で、 俗気《ぞっけ》のない愛すべき男であるが、 溺愛《できあい》する一人娘のことでは、 源氏の迷惑に思うことを知らずに、 注意を引こうとする言葉もおりおり洩《も》らすのである。 源氏もかねて興味を持って噂を聞いていた女であったから、 こんな意外な土地へ来る…