【源氏物語358 第13帖 明石20】明石入道が元の身柄も良いせいか、頑固ではあるが古典的な趣味がわかり 素養も相当ある。源氏は彼の話を聞くことでつれずれさも紛れる。

源氏のいる所へは 入道自身すら遠慮をしてあまり近づいて来ない。 ずっと離れた仮屋建てのほうに詰めきっていた。 心の中では美しい源氏を始終見ていたくてならないのである。 ぜひ希望することを実現させたいと思って、 いよいよ仏神を念じていた。 年は六十くらいであるがきれいな老人で、 仏勤めに痩《や》せて、もとの…