【源氏物語359 13帖 明石21】溺愛する一人娘の婿にと 入道は切望しながら無遠慮には言い出せない。明石の君は自分の身分の低いのを悲しむ。

こんなふうで入道は源氏に親しく扱われているのであるが、 この気高い貴人に対しては、 以前はあんなに独り決めをしていた入道ではあっても、 無遠慮に娘の婿になってほしいなどとは言い出せないのを、 自身で歯がゆく思っては妻と二人で歎《なげ》いていた。 娘自身も並み並みの男さえも見ることの稀な田舎に育って、 源…