【源氏物語360 13帖 明石22】4月になり、明石入道は衣替えの衣服などを調製した。長閑な初夏の夕月夜が 二条の院の月夜の池のように思われた。

四月になった。 衣がえの衣服、 美しい夏の帳《とばり》などを入道は自家で調製した。 よけいなことをするものであるとも源氏は思うのであるが、 入道の思い上がった人品に対しては何とも言えなかった。 京からも始終そうした品物が届けられるのである。 のどかな初夏の夕月夜に海上が広く明るく見渡される所にいて、 源氏…