【源氏物語361 第13帖 明石23】山手の家の方へも松風と波の音に混じって源氏の琴の音が聞こえてくる。明石入道は泣く泣く琴の音を褒め称えていた。

源氏は「広陵《こうりょう》」という曲を 細やかに弾いているのであった。 山手の家のほうへも松風と波の音に混じって聞こえてくる琴の音に 若い女性たちは身にしむ思いを味わったことであろうと思われる。 名手の弾く琴も何も聞き分けえられそうにない土地の老人たちも、 思わず外へとび出して来て浜風を引き歩いた。 入…