【源氏物語372 第13帖 明石34】源氏は明石入道のいる山手の家に手紙を持たせてやることにした。優れた女がいるのかもしれないと心遣いをしながら手紙を書いた。

やっと思いがかなった気がして、 涼しい心に入道はなっていた。 その翌日の昼ごろに 源氏は山手の家へ手紙を持たせてやることにした。 ある見識をもつ娘らしい、 かえってこんなところに 意外なすぐれた女がいるのかもしれないからと思って、 心づかいをしながら手紙を書いた。 朝鮮紙の胡桃《くるみ》色のものへきれいな…