【源氏物語384 第13帖 明石46】明石の君は、手紙のやり取りをし 有名な琴の音も聞く事も叶い これ以上は望みたくない。源氏との結婚の夢など見ていないのである。

長い間 噂《うわさ》だけを聞いていて、 いつの日にそうした方を 隙見《すきみ》することができるだろうと、 はるかなことに思っていた方が 思いがけなくこの土地へおいでになって、 隙見ではあったがお顔を見ることができたし、 有名な琴の音を聞くこともかない、 日常の御様子も詳しく聞くことができている、 その上自分…