【源氏物語386 第13帖 明石48】明石入道は妻にも弟子にも告げずに結婚の支度をした。13日の月の夜、源氏の館に「あたら夜の」と書いた迎えの手紙を源氏に送った。

源氏は、 「この秋の季節のうちにお嬢さんの音楽を 聞かせてほしいものです。 前から期待していたのですから」 などとよく入道に言っていた。 入道はそっと婚姻の吉日を暦で調べさせて、 まだ心の決まらないように言っている妻を無視して、 弟子にも言わずに自身でいろいろと 仕度《したく》をしていた。 そうして娘のいる…