【源氏物語388 第13帖 明石50】娘の家は三昧堂が近くて、そこで鳴らす鐘の音が松風に響き合い 秋の虫が鳴いている。

山手の家は 林泉の美が浜の邸《やしき》にまさっていた。 浜の館《やかた》は派手に作り、 これは幽邃《ゆうすい》であることを主にしてあった。 若い女のいる所としてはきわめて寂しい。 こんな所にいては人生のことが 皆身にしむことに思えるであろうと源氏は恋人に同情した。 三昧堂《さんまいどう》が近くて、 そこで…